【悲報】コワーキングスペース廃業の現実|よくある失敗事例4選から学ぶ成功の法則 | いいオフィス

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2025.06.27

【悲報】コワーキングスペース廃業の現実|よくある失敗事例4選から学ぶ成功の法則 | いいオフィス

いいオフィス 編集部

【悲報】コワーキングスペース廃業の現実|よくある失敗事例4選から学ぶ成功の法則 | いいオフィス

コワーキングスペースの数は年々増加し、働き方の多様化を支えるインフラとして社会に定着しつつあります。この活況を見て、「自分もコワーキングスペースを開業したい」と考える方も少なくないでしょう。
しかし、その華やかな市場の裏側では、オープンから数年で閉鎖に追い込まれる「失敗事例」が後を絶たないのも事実です。
この記事では、これからコワーキングスペースの経営を志すあなたが同じ轍を踏まないよう、実際にあった話を基にした具体的なよくある失敗事例をご紹介し、その原因と成功への教訓を徹底解説します。

コワーキングスペース経営で陥りがちな失敗事例4選

成功の秘訣は、失敗から学ぶことにあります。
ここでは、多くの運営者が直面した典型的な失敗パターンを4つの事例として紹介します。
それぞれの事例には、未来のオーナーであるあなたにとって貴重な教訓が隠されています。

【失敗事例1】コンセプトの欠如:不動産業者が始めた「ただの場所貸し」スペース

最初の事例は、最も陥りやすいかもしれない「安易な参入」が招いた失敗です。

空き物件の活用に頭を悩ませていたある不動産業者が、手軽に始められそうだと考え、コワーキングスペース事業に参入しました。目的はあくまで「空室を埋めること」であり、初期投資は極力抑えたいという考えでした。

そこで作ったのは、オフィス用の長机と事務椅子をずらりと並べ、家庭用のWi-Fiルーターを設置しただけの、きわめて簡素なワークスペースでした。
料金は周辺の競合よりも安く設定し、「安さ」を売りに集客しようと考えたのです。

しかし、利用者は全く定着しませんでした。

長時間座るには辛い椅子、不安定なWi-Fi、隣の席との距離が近すぎるレイアウト。
モニターや電源タップといった備品も不十分で、利用者は「安かろう悪かろう」という印象しか持ちませんでした。
さらに、運営側にコミュニティを醸成する意欲もなく、オープンスペースのみにも関わらず、利用者同士の交流も生まれません。ただ静かに時間が過ぎるだけの「場所貸し」スペースに、付加価値は何もありませんでした。

結局、一度利用したユーザーがリピーターになることはなく、常に新規顧客を探し続けなければならない状態に…。
安さだけを武器にした結果、近隣に少しでも快適な新しいスペースができると、利用者はあっという間にそちらへ流れていきました。価格競争の末、収益は悪化の一途をたどり、不動産業者は「コワーキングスペースは儲からない」という結論を出し、事業から撤退しました。

この失敗の本質は、「誰のために、何を提供するのか」というコンセプトの欠如です。
利用者がコワーキングスペースに求めるのは、単なる机と椅子ではありません。
集中できる環境、快適な設備、新たな出会いや刺激を生むコミュニティといった「付加価値」です。
初期投資を抑えることは重要ですが、利用者の満足度を無視したコストカットは、結果的に自らの首を絞めることになるという典型的な事例です。

【失敗事例2】コスト管理の甘さ:都心一等地の路面店で有人運営

次に紹介するのは、華やかなスタートを切ったものの、コスト管理の甘さから事業が立ち行かなくなった事例です。

とある企業が、自社のブランドイメージ向上のため、都内でも有数のビジネス街の一等地、しかも人通りの多い路面店にコワーキングスペースを開業しました。
ガラス張りの洗練されたデザイン、最新のオフィス家具、そして常時2名のスタッフが出迎える手厚い有人運営。オープン当初はメディアにも取り上げられ、順調な滑り出しに見えました。

しかし、都心一等地の路面店という立地は、当然ながら家賃が桁違いに高額です。
それに加え、2名体制の有人運営は人件費も大きな負担となります。
売上は決して悪くありませんでしたが、それ以上に固定費(家賃や人件費などの毎月必ずかかる費用)が重くのしかかり、売上が費用を上回る「損益分岐点」には全く届かない状況が続きました。

さらに、路面店であるがゆえの悩みもありました。不特定多数の人が出入りしやすいため、セキュリティ対策や清掃にも通常以上のコストと手間がかかります。事業計画では、数年かけて黒字化するシナリオを描いていましたが、想定以上のコスト流出に運転資金はみるみるうちに減少。
スマートロックや予約システムを導入して無人運営に切り替えるといったコスト削減策も検討されましたが、時すでに遅し。膨らみ続ける赤字に耐えきれず、鳴り物入りでオープンした店舗は、わずか2年でひっそりと姿を消すことになりました。

この失敗の教訓は、「理想」と「現実」のバランス感覚の欠如です。ブランドイメージを追求するあまり、身の丈に合わない高コストな運営モデルを採用してしまったことが最大の敗因です。特に、家賃や人件費といった固定費は、一度設定すると簡単には下げられません。事業を始める前に、現実的な売上予測に基づき、無理のないコスト構造で運営できるかを厳しくシミュレーションする必要がありました。

【失敗事例3】需要予測のズレ:良かれと思った大型会議室が命取りに

3つ目の事例は、エリアの会議室需要の「サイズ感」を完全に見誤ってしまったケースです。

ある事業者は、都心へのアクセスが良いベッドタウンに、コワーキングスペースの開業を計画しました。このエリアの住民はテレワークの導入が進んでおり、「会議室の需要は高いはずだ」と分析。そして、「どうせ作るなら立派なものを」「大は小を兼ねるだろう」という考えから、施設の目玉として12名以上を収容できる広々とした大型会議室を2部屋も設置しました。

しかし、オープン後に待ち受けていたのは厳しい現実でした。蓋を開けてみると、このエリアで実際に求められていたのは「4〜6名程度」で利用できる手頃な中規模の会議室だったのです。個人の利用者がクライアントと1対1で打ち合わせをしたり、小規模なプロジェクトチームが数名で集まったりといったニーズがほとんどでした。

見栄えのする大型会議室は、料金設定が割高なうえ、「2、3人で使うには広すぎる」と敬遠され、予約はほとんど入りません。結果として、施設の収益源となるはずだった会議室は、ただ家賃を食いつぶすだけの「死にスペース」と化してしまいました。一方で、最も需要の多い4〜6名規模の打ち合わせ希望者は、受け入れるスペースがないために断らざるを得ず、近隣のカフェや別のレンタルスペースに流れていってしまいました。

収益の柱を失ったこのコワーキングスペースは、個人のドロップイン利用だけでは経営が成り立たず、最終的に資金繰りが悪化。開業から2年足らずで閉鎖へと追い込まれました。

この失敗の根本的な原因は、「思い込み」による需要予測とリサーチ不足です。会議室需要の有無だけでなく、「どのくらいのサイズの需要が最も多いのか」という解像度の高い分析を怠ったことが敗因です。

これを避けるためには、会議室のポータルサイト(スペースマーケット、インスタベースなど)を活用したリサーチが極めて有効です。開業予定エリアで検索し、「どのサイズの会議室が」「いくらで貸し出され」「予約がどのくらい埋まっているか」を徹底的に調査します。また、「[エリア名] 会議室」などのキーワードの月間検索ボリューム(需要の大きさ)と、ポータルサイト上の掲載数(供給の多さ)を比較し、そのギャップを分析することで、本当に「勝てる」会議室の規模や価格設定を見極めることができたはずです。

【失敗事例4】市場変化への未対応:補助金頼りの地方創生ワーケーション施設

最後の事例は、地方創生の文脈で語られることも多いコワーキングスペースの落とし穴です。

ある地方自治体は、国の補助金を活用し、美しい自然景観が望める場所にワーケーション需要を狙ったコワーキングスペースを整備しました。コロナ禍でワーケーションが大きな注目を集めた時期と重なり、オープン直後は首都圏からの利用者で賑わい、成功事例としてメディアでも紹介されました。

問題が表面化したのは、コロナ禍が落ち着き、人々の働き方やライフスタイルが平常に戻り始めてからです。あれほどあったワーケーションの需要は波が引くように落ち着き、平日の利用者は激減。一般的な大型連休や夏休み期間以外は、広々とした施設に数えるほどの利用者しかいないという日が続くようになりました。

この施設の事業計画は、当初からワーケーションという一過性のブームに乗りすぎた、補助金ありきの計画でした。補助金があるうちは良かったのですが、いざ自走しなければならない段階になって、平時の稼働率をどう確保するかという視点が抜け落ちていたのです。例えば、地元住民向けの月額プランを用意したり、地域の事業者を巻き込んだイベントを企画したりといった、地域に根差した集客戦略が全く考えられていませんでした。

結果、観光シーズンの短い期間の売上だけでは、施設の莫大な維持費を賄うことは到底できません。稼働率の低迷は赤字経営に直結し、一時は地域の希望の星とされた施設も、今やその存続が危ぶまれています。

この事例から学ぶべきは、外部環境に依存した事業モデルの危うさです。補助金や一時的なブームは、事業のスタートダッシュを助けてくれますが、それだけで走り続けることはできません。ブームが去った後も、安定して収益を上げられる「自走できるビジネスモデル」を構築しておくことが、いかに重要であるかを物語っています。

なぜコワーキングスペースは失敗するのか?共通する5つの原因

ここまで4つの具体的な失敗事例を見てきました。これらは一見すると別々の問題に見えますが、その根底にはいくつかの共通する原因が存在します。ここでは、失敗の本質を5つのポイントに整理して解説します。

原因1:コンセプトの不在と差別化戦略の欠如

失敗事例1で見たように、「ただの場所貸し」では競争力を失います。コワーキングスペースが急増する現代において、「ただ仕事ができる場所」というだけでは、その他大勢に埋もれてしまいます。

  • コンセプトの明確化: 「エンジニアが集まる技術交流拠点」「クリエイター向けの撮影機材が揃うスペース」「子育て中の女性を支援するコミュニティハブ」など、明確なコンセプトを打ち出すことが重要です。
  • 差別化要因の構築: コンセプトに基づき、他にはない強み(付加価値)を作りましょう。それは、高性能な設備かもしれませんし、特定のスキルを持つコミュニティマネージャーの存在、あるいは独自のイベント企画力かもしれません。

価格競争は、体力の消耗戦です。独自の価値を提供することで、価格以外の理由で選ばれる存在になることが、長期的な成功の鍵となります。

原因2:ずさんな収支計画(コスト意識の低さ)

失敗事例2が示したように、コスト管理の甘さは事業の存続を直接的に脅かします。特に見落としがちなのが、開業後にかかり続ける「ランニングコスト」です。

  • 初期投資(イニシャルコスト): 物件取得費、内装工事費、什器購入費など、開業時にかかる費用です。
  • 運営費(ランニングコスト): 家賃、水道光熱費、通信費、人件費、消耗品費、予約システム利用料など、毎月発生する費用です。

これらのコストを可能な限り正確に算出し、それに見合った売上目標と料金設定を行う必要があります。「売上(会員費やドロップイン利用料)> ランニングコスト」という状態をいかに早く、そして安定的に達成できるか。そのための損益分岐点分析は、事業計画の根幹をなす必須項目です。

原因3:事前のリサーチ不足と甘い需要予測

多くの失敗事例に共通するのが、リサーチ不足です。コワーキングスペースを成功させるためには、「誰が」「どこで」「どのような目的で」利用するのかを徹底的に分析する必要があります。

  • エリア分析: その地域はビジネス街ですか?それとも住宅街、学生街でしょうか?周辺に競合となる施設はありますか?最寄り駅からの距離や、周辺のランチ環境なども重要な要素です。
  • 需要の解像度: 「会議室が欲しい」という漠然としたニーズだけでなく、失敗事例3のように「何人用の会議室が、どのくらいの頻度で使われるのか」といった、より具体的で解像度の高い需要を把握することが不可欠です。会議室ポータルサイトやキーワードリサーチを駆使し、データに基づいた判断を心がけましょう。

これらのリサーチを怠り、「最近流行っているから」「空き物件があるから」といった安易な動機で始めると、利用者ニーズと施設が乖離した「誰にも使われない場所」が生まれてしまうのです。

原因4:集客・マーケティング戦略の欠落

「良い施設を作れば、口コミで自然にお客さんは集まるはずだ」という考えは、非常に危険な幻想です。どんなに素晴らしいコワーキングスペースを作っても、その存在が知られなければ意味がありません。

  • オープン前の広報活動: 開業の数ヶ月前からWebサイトやSNSアカウントを立ち上げ、施設のコンセプトや工事の進捗状況などを発信し、オープンへの期待感を醸成します。
  • 継続的な情報発信: 開業後も、イベントの告知、利用者の紹介、日々の施設の様子などをSNSやブログで発信し続けることで、既存顧客との関係性を深め、新規顧客へのアピールを行います。
  • Webマーケティング: Googleビジネスプロフィールへの登録や、SEO(検索エンジン最適化)対策、必要であればWeb広告の出稿も検討し、オンラインでの認知度を高める努力が不可欠です。

集客は、施設が完成してから始めるのではなく、計画段階から並行して進めるべき重要なタスクです。

原因5:運営ノウハウの不足

コワーキングスペースの運営は、単なる場所貸し業ではありません。利用者からの問い合わせ対応、設備のメンテナンス、清掃、トラブル解決、そしてコミュニティの活性化など、その業務は多岐にわたります。

  • コミュニティマネジメント: 利用者同士が自然と交流できるような雰囲気作りや、イベントの企画は、施設の付加価値を高める上で非常に重要です。しかし、これには専門的なスキルと経験が求められます。
  • オペレーションの効率化: 会員の入退会管理、予約受付、決済などを手作業で行うのは非効率的であり、ミスも発生しやすくなります。スマートロックや会員管理システムを導入することで、運営を効率化し、人件費を削減することも可能です。

これらの運営ノウハウがないまま事業を始めると、日々の業務に追われてしまい、本来注力すべき集客やサービスの改善といった戦略的な活動がおろそかになりがちです。

失敗を乗り越え、成功するコワーキングスペースを創るために

数々の失敗事例とその原因を分析してきましたが、決して「コワーキングスペースは儲からない、難しい」と結論付けたいわけではありません。むしろ、これらの失敗は、成功への道を照らす道しるべです。最後に、失敗のリスクを減らし、持続可能なコワーキングスペースを創るための考え方をお伝えします。

成功の鍵は「徹底した準備」と「柔軟な運営」

成功しているコワーキングスペースのオーナーは、例外なく徹底した準備を行っています。綿密な市場調査に裏付けられた事業計画、明確なコンセプト、そして現実的な収支計画。これらを事業開始前にどれだけ深く考え抜けるかが、最初の分かれ道です。

しかし、計画通りに物事が進むとは限りません。そこで重要になるのが「柔軟性」です。失敗事例4のように、市場環境は常に変化します。オープン後に利用者の声に耳を傾け、当初の計画に固執せず、サービス内容や料金プラン、レイアウトなどを柔軟に見直していく姿勢が求められます。最初から100点満点の完璧な施設を目指すのではなく、まずは最低限の形でスタートし、利用者の反応を見ながら改善を繰り返していく「リーン・スタートアップ」の考え方は、コワーキングスペース経営においても非常に有効です。

専門家や既存のプラットフォーム活用も視野に

ここまで読んで、「自分一人でこれらすべてを準備・運営するのは大変そうだ」と感じた方もいるかもしれません。その感覚は、決して間違いではありません。

コワーキングスペースの開業と運営には、不動産、内装、IT、マーケティング、コミュニティマネジメントなど、幅広い知識と経験が必要です。これらすべてをゼロから自力でやろうとすると、膨大な時間と労力、そしてコストがかかります。

そこで有効な選択肢となるのが、専門家の知見を借りたり、既存のプラットフォームを活用したりすることです。近年では、集客支援、予約・決済システムの提供、ブランド力の共有などをパッケージで行うフランチャイズや、ネットワークサービスが増えています。

こうしたサービスを利用することで、個人では難しい全国規模での集客や、開発にコストのかかる運営システムを手軽に導入でき、開業・運営における失敗のリスクを大幅に低減させることが可能になります。もちろん、一定の費用はかかりますが、自力で試行錯誤する時間とコストを考えれば、有力な選択肢の一つと言えるでしょう。

コワーキングスペースの経営は、決して簡単な道のりではありません。しかし、先人たちの失敗から学び、徹底した準備と柔軟な思考を持って臨めば、利用者から愛され、地域に貢献できる素晴らしい場所を創り出すことは十分に可能です。
この記事が、あなたの挑戦の一助となれば幸いです。

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